睡眠時無呼吸に対するCPAP療法の開始
睡眠時無呼吸の診断を受けた方は、ご自分の健康状態が心配になったり、CPAP療法を始めることに不安を感じたりしているかもしれません。しかし、睡眠時無呼吸の治療は健康のための重要な取り組みであり、サポートも充実しています。まずはこのページを読んでみてください。
CPAP療法のメリットとは
睡眠時無呼吸の人が効果的なCPAP療法を受けると、気分が良くなる1、日中をいきいきと過ごせるようになる2、事故のリスクが低下する3といったメリットがあると言われています。それらの効果を得るためには、CPAP装置を毎晩欠かさず、また、できるだけ長時間使用することが推奨されています。
CPAP療法とはどのようなものか
CPAPは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の効果的な治療法です。CPAP療法を受けるときは、マスクを装着して鼻や口を覆います。眠っている間に、CPAP装置からマスクへと、加圧された空気が一定の流量で送られてきます。この治療によって上気道が開いた状態に保たれるので、無呼吸や低呼吸で覚醒することなく睡眠を取ることができるようになります。CPAP療法ではなく、APAP療法を処方される場合もあります(これらの療法の詳細は後述します)。APAP療法はCPAPとよく似ていますが、加圧した空気の流量が一定ではなく変化するという点が異なります。
CPAPマスクを選ぶ際のポイント
マスクはCPAP装置を使用する上で重要な要素です。マスクを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
快適であること
快適であれば、毎晩着けていても嫌になりません。
ぴったりフィットすること
フィットしていれば空気が漏れず、治療の質が低下することを避けられます。
安定していること
安定していれば、睡眠中に動いてもマスクがずれにくいです。
着け外しが簡単であること
特に、夜間に何度も起きる必要がある方には重要です。
生活習慣に合っていること
読書をする、眼鏡をかける、パートナーとのコミュニケーションに影響がないようにする。
マスクが合わない、快適でない、生活習慣に沿わない等の場合、治療の効果が低下し、治療のメリットが得られなくなるおそれがあります。CPAPマスクは時間をかけて自分に合うものを探すようにしましょう。異なるタイプのマスクを試されたい場合は、担当医に相談してみてください。
CPAP装置の選び方
担当医が治療のニーズに応じてお勧めの装置を提示してくれるので、そこから選ぶとよいでしょう。すでに受けている治療法に変更を加える場合には、事前に必ず担当医にご相談ください。
CPAP療法になかなか慣れない場合には
CPAP療法の開始は生活の大きな変化なので、人によっては慣れるのに苦労することがあります。時間をかけて慣れていきましょう。大切なのは諦めないことです。毎晩欠かさず睡眠時無呼吸の治療を続ければ、健康や精神面にとても良い影響が及ぶ場合があります。以下では、治療を多少なりとも快適に進めるためのポイントをご紹介します。
最適化する
CPAP療法が自分に合ったものになるような方法を探しましょう。付属品を試してみたり、移動に対応した装置を使ったりすることのほか、マスクのストラップを別の種類に変えてみるなどの小さな調整をするだけでも、快適さに差が出ることがあります。
レスメドのサポートページを活用する
特定の問題にお悩みの場合には、レスメドのサポートページにアクセスすると、解決策が見つかるかもしれません。
サポートを求める
担当医や他の医療従事者に装置やマスクを調整してもらうと、快適に使用できるようになる場合があります。お近くの睡眠専門クリニックを訪ねてみてください。装置の調整とともに、治療の効果が最大限に得られるよう支援してくれるでしょう。
睡眠時無呼吸の治療法
持続的気道陽圧法(CPAP): OSAの治療でよく使用される効果的な方法です。CPAP装置は、加圧した空気を一定の流量で患者さんの鼻と口を覆うマスクに送り込み、睡眠中に上気道が塞がったり狭くなったりすることを防ぎます。その結果、無呼吸、低呼吸、覚醒が少なくなり、睡眠が妨げられにくくなります。CPAP装置は夜間を通じて一定の圧力設定で空気を送出します。快適に使用できるように、多くのモデルがまず低い圧力で動作し、徐々に処方された圧力へと高めていく「ランプ機能」を備えています。
自動気道陽圧法(APAP): CPAPに似ていますが、APAP装置は、患者さんの呼吸の変化に応じて圧力設定を変化させます。CPAPでは一定の圧力で継続的に空気を送出しますが、APAP装置はアルゴリズムを使用して、その時々で患者さんに必要な圧力を調整し、空気を送ります。
さらに詳しく知るために
References:
- McEvoy, R.D., et al., CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med, 2016. 375(10): p. 919-31.
- Wimms, A.J., et al., Continuous positive airway pressure versus standard care for the treatment of people with mild obstructive sleep apnoea (MERGE): a multicentre, randomised controlled trial. Lancet Respir Med, 2019.
- Findley L, Smith C, Hooper J, Dineen M, Suratt PM. Treatment with nasal CPAP decreases automobile accidents in patients with sleep apnea. Am J Respir Crit Care Med 2000;161: 857-9.
4. Weaver, T.E. and R.R. Grunstein, Adherence to continuous positive airway pressure therapy: the challenge to effective treatment. Proc Am Thorac Soc, 2008. 5(2): p. 173-8